介護券その1

介護権じゃないです。介護券。

良くあるケースなのか、そんなに多くないのか知らないけど、しばらく前に、キーパーソンが、社会福祉事務所のワーカーさんと言う方が入所してきた。

若いんですよ。50代です。生活保護受給者の方です。生活保護家庭ってのは、結構居られます。私のご利用者にも生保さん、居ます。

普通、生活保護家庭の方でも、介護保険証は持ってる。ところが、この方(Fさん)は持ってなさそうな気がした。だってさ。生活保護の方は健康保険証無いでしょ?保険証じゃないよね?医療券だよね?
医者に行くたびに、市役所の生活保護課だったかな?に電話して、医療券と言うのを発行してもらう。それを健康保険証代わりに医者に行く。普通の健康保険組合は、本人も家族も3割負担だけど、生活保護家庭の方は、自己負担は無い。

だから、必要最低限の文化的な生活が営めるようにと言う事で、冷蔵庫を買って良いかとか、ずいぶん昔だけど、高齢者のひとりぐらしの女性に、近所の電気屋さんが、善意でクーラーをつけてあげたら、生活保護が打ち切りになって(生活保護なのに、クーラーは贅沢と言う事で、市が取り外しを敢行したの)それでは困るからと、クーラーの無い生活に耐えていたら、救急車で運ばれて、あわや生命に別状が出るんじゃないか?と言う騒ぎになったことがあります。
以来、クーラーはぜいたく品にはならなくなったね。
自動車はそれが無いとどうしても働けない とかそういう事情が無いと買い物に便利だから では駄目なんだよ。

生活保護は、足りない分を支給してくれる制度で、現実に5万円の収入があったとすると、健康で文化的な最低限度の生活を保つのに不足している分を、原則としては現物で支給してくれる制度です。
アルバイトをしたら、即打ち切りかと言うと、そんな事は無い。自治体によって差がありますけれど、大体1人14万円くらいかな?5万円収入があれば、9万円支給される訳です。

それが現金では来ないんだ。
クーラーを買うとすると、クーラーを買いますと言う事を申請して、オッケーが出ると、そのお金は市から電気屋さんに支払われる。日常生活費(食料とかね。)の分は、それは現金ですけど。原則としては、出来る限りは全部現物支給。

これはどうやら、買うと言って、買わずに、必要最低限度以上の別のぜいたく品を買わせないためだと言う悪口が在りますが、本当の所は詳しくは知らないです。

ちなみに。
生活保護受給者は、切り詰めた生活をして、貯金をする事は出来ないんです。切り詰めて貯金をしている事が分かると、その分解約させられる。切り詰めて余るんだったら、その分は減額です。

勿論、生活保護と言うのは、何らかの理由で、収入が得られない人に対する国民の税金を使った「措置」ですから、ある意味これは正しいんだけど、どんな制度にもこぼれ落ちる人があるわけで、例えば、生まれつきの障害があって、障害年金を受給している人は、財産作れるのね。
でも、訳在って、収入の道が閉ざされると、全財産を1円残らず使い果たして、もう明日のお米も無い と言う状態にならないと、生活保護は受けられない。

良いような悪いような変な制度ではある。

それはともかく、そのFさんですがね。
生活保護受給者で、かつ、介護保険の2号被保険者なんだよ。だから、介護保険証が無い。医療券じゃなくて、介護券。

介護券なんて言葉、一般の人は知らないんじゃないだろうか?介護保険の受給者番号はある。でも、保険証がなくて、自己負担金が無い。